2026.07.21
ターゲットを絞りましょう、とよく言います。
でも、絞ると聞くと不安になりますよね。「客を減らすってこと?」「せっかくの見込み客を、自分から手放すの?」と。多くの人が、絞ることを「捨てること」だと感じています。
これは、まったく逆です。絞ると、売上は増えます。この記事では、なぜそうなるのかを、仕組みから順に書いていきます。
まず、絞らないとどうなるか。
誰にでも合う商品です、と言った瞬間、その言葉は誰の心にも刺さらなくなります。老若男女どなたでも、と書かれたチラシを見て「これは自分のためのものだ」と感じる人はいません。全員に向けた言葉は、結局、誰のものでもないからです。
人は、自分に向けられた言葉にしか反応しません。「あなたのためのものです」と言われて、はじめて足を止める。だから、届けたい人を絞るというのは、届く力を上げるための作業なのです。
ターゲットを絞ると、4つのことが連鎖して起こります。
1. メッセージが尖る。 相手が一人にはっきり見えていれば、その人にだけ通じる言葉が書けます。悩みも、言葉づかいも、刺さるポイントも具体的になる。「これ、まさに私のことだ」と思ってもらえる確率が上がります。
2. 価格勝負から抜けられる。 「この人のこの悩みなら、うちがいちばん」という立ち位置が定まると、他社と横並びで比べられなくなります。比較されないから、値段で選ばれなくなる。安さではなく、名前で選ばれるようになります。
3. 紹介が回りはじめる。 「誰に向けた会社か」がはっきりしていると、お客様も紹介しやすくなります。「こういうことで困ってる人がいたら、あそこがいいよ」と言える。曖昧な会社は、人に勧めにくいのです。
4. 限られた力を、集中できる。 小さな会社の時間もお金も、無限ではありません。狙う相手が定まれば、そこにすべてを注げます。あれもこれもと薄く広げるより、一点を深く掘るほうが、確実に届きます。
この4つが積み重なった結果として、売上が増える。絞ることは、遠回りに見えて、いちばん近い道です。
ここにもう一つ、面白い逆転があります。
対象を絞ると、絞った層の外の人にも届くことがあります。特定の誰かに真剣に向き合っている会社は、その姿勢自体に信頼が生まれるからです。「自分は対象じゃないけど、ここまでこだわってるなら任せたい」。そう思われて、想定していなかった人からも選ばれる。
広く浅く狙った会社は、誰からも「まあまあ」で終わります。狭く深く狙った会社は、まず狙った層に強く刺さり、その熱が外へにじんでいく。広げたいなら、まず絞る。順番が逆なのです。
ブランドの編集室が大切にしているのは、この考え方です。
ターゲットを絞るのは、お客様を切り捨てることではありません。あなたの会社の「らしさ」を、誰にいちばん喜んでもらえるかを決めることです。すでにある強みを、いちばん響く相手に向けて差し出す。それだけのことです。
だから、絞る前にやることがあります。新しいターゲットを探すのではなく、これまでいちばん喜んでくれたのは誰だったか、いちばん気持ちよく仕事ができたのは誰とだったかを思い出すこと。答えは、たいてい過去の中にあります。絞るとは、その相手を選び直す作業です。
ブランドの編集室は、すでにある価値を、言葉とデザインで伝わる形へ編集する場所です。
「誰に向けた会社なのか、言葉にしたい」と思ったら、お気軽にご相談ください。