2026.07.14
「お客様視点で考えましょう」
よく聞く言葉です。でも、具体的に何をすることなのかと聞かれると、意外とふわっとしています。気持ちの持ち方の話にされがちですが、実務で効くのはもっと単純なことです。お客様視点とは、まず「順番」の話です。
自分たちの紹介を書くとき、多くの会社は言いたいことの順番で並べます。創業からの歴史、大事にしているこだわり、技術の細かい説明。どれも本当のことで、思い入れがあるからこそ最初に置きたくなります。
でも、初めてそのページを開いたお客さまの頭の中は、こうです。
「で、ここは何をしてくれるところ?」「うちに合うのかな?」「頼んだら、どうなるんだろう」
知りたいことの順番と、書いてあることの順番が、逆になっている。お客様視点が考えられていないと言われる状態の正体は、たいていこれです。内容が悪いのではなく、順番が逆なのです。
読む側は、最初の数秒で「これは自分に関係がある話か」を判断します。その数秒のあいだに歴史やこだわりが続くと、どれだけ良い中身でも、関係がある話だと気づいてもらう前に閉じられてしまいます。
もったいないのは、こだわりや歴史そのものが不要なわけではないことです。「ここ、良さそうだな」と思った人は、その先を自分から読みにいきます。つまり、こだわりは削るものではなく、後ろに置くものです。
やり方はシンプルです。書く前に、初めて来た人が頭に浮かべる質問を書き出します。
「何をしている会社?」「自分に合う?」「頼むと何が起きる?」「いくらかかる?」
そして、その質問に答える順番に並べ直す。それだけで、同じ中身のまま、伝わり方が変わります。新しい言葉を足す必要も、良いことを盛る必要もありません。
お客様視点は、特別な感受性でも、気持ちの入れ替えでもありません。知りたい順番に並べ直す、技術です。
自分たちの言いたいことを我慢することでもありません。届く順番に編み直せば、こだわりは、ちゃんと最後まで読んでもらえます。
順番を並べ直すには、まず「どこで伝わらなくなっているのか」に気づく必要があります。ただ、ここが一番むずかしいところです。書いた本人には、全部つながって見えているからです。
もし「伝わっていない気がする」という引っかかりがあれば、どこが伝わっていないポイントなのか、一緒に考えてみませんか。