COLUMN
言葉の整理

採用時の「いい人がほしい」でつまずく

2026.09.01

採用がうまくいかない会社には、共通する口ぐせがあります。

それは「いい人がいたら」「いい人来て欲しい」といった一言。

よく聞く言葉ですし、悪気もありません。

ただ、この「いい人」が誰を指しているのか、口にした経営者や採用担当者自身が答えられないことが少なくありません。

つまずきは、面接でも条件でもなく、この一言を定められていないままのところから始まっています。

ミスマッチが起こる背景

たとえば、こういう方がいます。

察しがよく、頼めば何でも引き受けてくれる。
小回りがきいて、言う前に動いてくれる。ありがたいので、つい何でも任せてしまう。

会社としては、とても楽な存在です。

こういう方はたいてい、断りません。
気づけば、仕事を抱え込みます。
それは、表に出さないので、周りも気づけません。

同時に抱え込みながらも、当の本人は「自分が何を期待されているのか」をはっきりとは知らされていないことが多い。この場合、想像で過剰に補ってしまうか、まったく考えなくなるかのどちらかに進んでいきます。

だから走る方向が定まらないまま、頼まれるままに動き続けます。

そしてある日、限界になって、突然離れていきます。

そうして、また「いい人探し」の繰り返しになります。

分かれ目は、性格ではなく「決めたかどうか」

これは「いい人」を採用したから起きた問題ではありません。「自分たちにとっての《いい》が何なのか」を決めないまま採用したことが原因です。

楽に任せられる人と、長く一緒にやっていける人。
この二人を分けるのは、本人の性格ではありません。会社側が「いい」を言葉にできていたかどうかによるんです。

決めないまま採ると、その場でなんとなく良さそうな人を選んでしまいがちです。お互い、何を期待されている(している)のかが曖昧なまま始まる。だから方向を見失い、静かに離れていきます。

逆に「いい」を決めてから採ると、入る前から期待値が揃います。
何を大事にし、どこを任せたいのかが最初から共有できているので、走る方向がぶれません。
また、採用時にも「基準」が双方にとって明確になり、「得意」「不得意」「ビジョン」で互いがマッチしているのかを判断できるようになっていきます。

だから、探す前にやるべきことがあります。
「いい人」を、自分たちの言葉でほどいていくことです。

素直な人。優秀な人。長く続く人。こちらの意向を汲んでくれる人。
これらはすべて、別の人物像です。

自社にとっての「いい」は、このうちのどれに近いのか、はたまたそっちじゃないのか。

何ができる人で、何を大事にしていて、どういうときであれば意見がぶつかってもいいのか。ここまで言葉にできて、はじめて会社にとって必要な人材の確保につながっていきます。

仮に「いい人いたら紹介してね」ということを言われる紹介する側も、曖昧なものよりも具体的な方が「紹介の可否」が明確になります。

採用がうまい会社は、求める人物像が具体的です。
「コミュニケーション能力の高い人」のような、どこかで聞いた言葉を使いません。
自分たちの現場で本当に効く条件を、自分たちらしい言葉で持っています。
だから、来てほしい人にまっすぐ届き、入社後の取り違えも起きにくくなります。

「いい人」は、探すものではありません。

まず、決めるものです。決めた分だけ、ちゃんと出会えます。

採用を、入り口から見直したい会社さまへ

とはいえ、「いい」を自分たちの言葉でほどく作業は、社内だけで進めようとすると、いちばん難しいところです。当たり前になっていることほど言葉にしづらく、身内では「言わなくてもわかる」で流れてしまうからです。

私たちは、その言語化をお手伝いしています。会社の中にすでにある「いい」を一緒に掘り起こし、来てほしい人にまっすぐ届く言葉へ編み直す。求人票のひとつ前、「そもそもどんな人と働きたいのか」から整える仕事です。

採用がうまくいかないのは、魅力がないからではありません。

その魅力が、まだ言葉になっていないだけです。採用を入り口から見直したい会社さまは、ぜひ一度ご相談ください。