2026.07.20
「デザインが、なんかしっくりこないんです」
ロゴをつくり直した。ホームページをリニューアルした。
きれいに仕上がっているし、悪いところは見当たらない。でも、なんか違う。
こういうとき、デザインのせいにされがちです。
でも原因は、たいていもっと手前にあります。
デザインの仕事は、手を動かすところから始まるのではありません。
その前の、作戦会議から始まっています。
何を大事にしている会社なのか。誰に届けたいのか。何を約束するのか。それを一緒に確かめて、言葉にする時間です。
しっくりこないデザインの多くは、この作戦会議がうまくいっていません。ここで言葉が曖昧なまま進むと、その先の色や形も曖昧になります。デザインの出来は、手を動かす前に半分決まっているのです。
ここで厄介なのは、言葉が「無い」場合より、「あるけど借り物」の場合です。
「高品質なサービス」「安心と信頼」「想いを込めて」。どれも嘘ではありません。でも、どこの会社でも言える言葉です。作戦会議がこの言葉のまま終わってしまうと、そこから生まれるのは、誰のものでもあり得るデザインです。
きれいなのにしっくりこないのは、当然なのです。そのデザインの中に、自分たちがいないのだから。
だから、しっくりこないと感じたときにやることは、デザインの手直しを重ねることではありません。作戦会議に、つまり言葉に戻ることです。
ヒントは、すでに持っています。お客さまに直接説明するときの言い方。「こんなの普通ですよ」と言ってしまうこだわり。よそ行きではない、いつもの言葉の中に、自分たちにしか言えないことが眠っています。それが言葉になったとき、デザインは初めて「うちらしい」と感じられるものになります。
デザインがしっくりこないとき、疑うのはデザインの腕ではなく、その手前の作戦会議です。
どこの会社でも言える言葉は、何も言っていないのと同じ。自分たちにしか言えない言葉が決まれば、デザインは迷いません。順番は、デザインの前に、言葉です。
伝えるのが難しいのは、伝え方が下手だからではありません。多くの場合、言葉にする手前のところが曖昧なままだからです。そしてこの曖昧さは、中にいる人には一番見えにくいものです。
もし「言いたいことが、いまいち伝わっていない気がする」という引っかかりがあるなら、どの言葉がまだ決まっていないのか、一緒に考えてみませんか。